出会っちゃった人たち10




 「あ。お父さーん!」 
 「おー、青子。来たぞー。」 
 「うん。ありがとー♪」





 黒羽がキッドとして現われるのは、あと一回。 
 どこから出る気だ? キッドといやあ、屋上だけど・・・そりゃ、さすがにねえか。 逃げ場ないも
んな。 

 「ねえ、あれ中森警部じゃない?」 
 「本当だ。あ、青子ちゃんもこっちに気づいたみたい。」 

 蘭たちの言葉に校門の方をみると、確かに青子さんと中森警部が並んでた。 青子さんがこ
っちに手を振って近づいてくるのが見える。 
 ・・・・・しっかし、青子さんて本当に中森警部の娘さんだったんだな。 いや別に、疑ってたとか
じゃねえんだけど。 ああやって並ばれると改めて知るっつーか。 

 「蘭ちゃん、改めて紹介するね☆ 青子のお父さん!」 
 「おー、毛利さんに鈴木さん、コナン君まで。どうも、こんにちは。 なんだ青子、知り合いだっ
たのか。」 
 「さっき知り合って、友達になったの♪」 
 「こんにちは。いつもお世話になってます。」 
 「いやいや、そんな。」 

 警部が、照れて頭をガシガシとかいてる。 おっちゃんの居ないところでは、愛嬌あって良い人
なんだよな、この人。 

 「しかし、これだけキッドの事件で関わったメンツが揃うと、しまいにゃキッドまで出そうだな
あ。」 
 「ふふ、もうすぐ出るよ?」 
 「ああ、快斗君が演るやつか。大丈夫かな、あの子は?ただでさえキッドに目をつけられて
て、いつ何処から見られてるのかもわからんのに。今回のことが知られて、余計に絡まれるよ
うなことにならなけりゃ、いいが。」 

 そんなに執着されてんのかよ!? 
 くそ、次にキッドに会ったときに、がっちり釘を刺しとこう。 今後、間違っても黒羽に手を出さ
ないように! 

 「黒羽君がキッド様に見られてるって、どういうこと?」 
 「あ、それはねー。」 

 青子さんが、さっき俺にしてくれたのと同じ説明を、園子と蘭にしてる。
  警部が腕時計を見ながら「そろそろかな」と言ったのが聞こえた。 
 その一瞬後。 

 「出たーーーー!屋上だ!!」 

 何っ!? あ、ああああ危ねえだろうが、黒羽!!  
 校庭に居る俺の心中の叫びが、屋上の黒羽に届くわけもなく、黒羽は余裕に構えている。 と
たんに、キッドの出現有力候補だと屋上に張ってた奴らが、黒羽に向かって走り出した。 

 「危ないわよ、あんな勢いで迫ったら!」 
 「黒羽君、逃げて!」 
 「ああ、見えなくなった!押し倒されてしまったのか!?くそう、待ってなさい、快斗君!おじさ
んが、いま行ってやるから!」 

 警部、あいつを助けるのは俺だってーの! 

 「・・・・・お父さん、キッドの心配してくれるの?」 
 「?当たり前じゃないか!だってありゃ快斗君なんだろう!?」 
 「・・・嬉しいな。ありがと警部♪」 

 !? 

 ―――――ここに居るはずのない声が、青子さんの居る方から聞こえて、振り返れば。 
 俺と同じように、驚きで口をパクパクさせてる警部がいた。 その警部の後ろから白い手がの
びて、そのまま警部に背後から抱きついた。 

 「キ、キッドぉ!?い、いや。か、快斗君!?」 
 「青子ちゃんは!?」 
 「屋上に居るキッド様は!?」 

 ほぼ同時に三人から出た言葉に、黒羽がにこりとして言った。 

 「あれは、ダミー☆ はい、警部。捕まった♪」 

 正確に言えば、そりゃ捕まったんじゃなくてお前が警部を捕まえてんだろ! ってこの際そんな
ことは良しとしても、なに嬉しそうに警部に懐いてるんだよ黒羽!? 警部より俺に懐けよ!! 
 もう少しで叫びそうになったが、突然聞こえてきたアナウンスに我に返って、言葉をのみ込
む。 

 「おーーーっと!ついに決着!?江古田祭のキッドを捕まえたのは、中森警部だーーー
ー!!!さすがはキッド専任というところでしょうか!?」 

 アナウンスの声は、本物の青子さんのものだった。 その声に、校庭に居た奴らも、校内に居
た奴らまでもが窓から身を乗り出して、歓声をあげる。 
 


 くそーーーー!! 
 認めねえ! 俺はこんなオチは絶っ対認めねえぞ!?