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出会っちゃった人たち9
さて、名探偵。 どう解釈してくれたかな?
俺は嘘は言っていない。 俺にとってキッドは親父だけだ。 まあ、俺ももちろん頑張ってはい
る、うん。
でも、それでもやっぱり親父はまだ遠い、高みにいるんだ。
「それにしても青子、よく俺がわかったな。」
「え?ああ、青子じゃないよ。快斗を見つけてくれたのは、白馬君。」
「緊急で伝えたいことがあってね。」
「緊急で?」
「そう。学園祭の実行委員会から連絡が入ったんだ。キッドの出現を次の回で最後にしてほ
しいとのことだよ。」
「・・・さっきので、怪我人がでた?」
俺がそう聞くと、白馬は、見てる人を安心させるような笑みを浮かべて否定した。
「いや、そんな報告は出ていないそうだよ。どちらかというと、予想外の大人数に追われるこ
とになった、君を心配しての判断だと、僕は思う。」
ふーん・・・。
お、なんか下の方から視線を感じると思ったら名探偵じゃん。 なんか不機嫌そうな顔してな
いか? 放っときすぎて拗ねたとか・・・まさかね、何せこう見えても中身は高校生なんだし。
「コナン?どうかした?」
「え、あ、いや。・・・なんでもない。」
「そう?」
まあ、具合が悪くなった、とかでもなさそうだし、大丈夫かな?
「さあ、そろそろ待機したほうが良さそうだよ。行こうか。」
すっ、と。 白馬からさり気なーく手を差し出される。 さすがは紳士の国仕込み。
でもよー。
「白馬、俺のいまの格好がこんなでも、そんなマネする必要ねーっての。」
俺も思わず、自分の手を、出された手の上に乗せちゃったけどさ。
「失礼。癖なもので。」
柔らかく笑って答える。 親父とは、また違った感じのする、紳士。
親父はもっと茶目っ気があったもんな。 常に、何か楽しいことを考えてそうな眼をしてた。
・・・・・・と、いけね。 ぼーっとしちまってた。
俺の意識を呼び戻したのは、スカートを緩く引っ張った名探偵。
「快斗兄ちゃん、行くの?」
おお♪ なんか外見年齢に見合った発言♪♪ しかも裏がなさそう!
新鮮だなー、こういう名探偵って。 これは、さっきの俺の言葉を、良いほうに解釈してくれたっ
てみて良いのかな?
「ごめん、行くよ。また後でな♪」
名探偵の頭を撫でて、別れる。
じゃな、名探偵。
さあて、と。 次で終わりかー、どこに出ようかな・・・・なあんてね。
実はほとんど決めてるんだよな♪
青子さんや白馬と歩いていく黒羽を見送りながら考える。
初めて笑顔を向けられた時に感じたもの。 キッドについて話すときの、あいつを見て感じたも
の。 あいつが、青子さんや白馬と話しているときや、白馬の手をとったときに、感じたもの。
・・・・・多分、そうだ。
出会ってすぐで、自分でも意外だと思うけど。
・・・・・・・・・気に入っちまったんだろう。 俺は、黒羽のことを。
自覚したとたん、不思議なほどに気持ちは落ち着いてきた。
振り返ると、蘭が自分の方に走ってくるのが見える。 蘭の後ろに、園子。
「コナン君!もう、知らないところで一人でどこかに行っちゃうのは止めて!」
怒られて、反省してますって顔をして謝ると、許してくれた。
「ねえ、さっき2年B組の人に聞いたんだけど、キッド様が出るのって次で最後になっちゃうみ
たいよ。」
園子が場の空気を少し変えようと、タイムリーなことを言う。
「うん、さっき僕も聞いた。僕、さっきまで快斗兄ちゃんと居たんだ。」
「うそっ?呼びなさいよ、そういう時は!どこどこ、黒羽君どこに向かって行った?」
「園子ったら・・・。」
「校舎の中に向かって行ったけど、次にどこから出るかは言ってなかったから、わかんない
や。」
「そう・・・ちぇ〜。」
がっくりしてるな、園子。
心配すんな。 俺だってまだやる気だ。
捕まえるのは、『キッド』じゃなくて『黒羽』だけどな!
俺が気に入ったやつだ。 他の誰かに捕まるのは許さねえぜ。
「ねえ、蘭姉ちゃん!」
「え?」
「僕、快斗兄ちゃんのこと気に入っちゃった♪この学園祭が終わっても、仲良くしたいな♪」
子どもらしく、無邪気な顔で言ったのに、蘭の反応は微妙だった。
気のせいってことにしとこう、うん。


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