出会っちゃった人たち7




 空の庭園・音楽家たちの寝室・活字中毒者の楽園・色彩の世界・最愛のひげ・祭典の大地・
小さな森・・・ とりあえず聞き出せた情報はこれだけ。 この祭りの中、情報を持ってる生徒を見
つけるだけでも大変だ。 

 「どうしよう?後もうちょっとでキッド様が出る時間よ!?」 
 「黒羽君は上手に隠れながら、校内を回ってるみたいね。どこに現れるのか、全然検討つか
ないわ。」 

 確かに、黒羽がキッド役を演ることを予め知ってる江古田の生徒なら、奴を尾行してればキッ
ドの出現場所もわかるはず。 
 なのに、キッドの出現場所を未だ特定されてなさそうなところを見ると、蘭の言うとおり、黒羽
はよほど上手く隠れているんだろう。 
 ―――――どこに出るつもりだ? 
 ・・・でも、これって推理じゃなくて勘が頼りだよなあ。 
 下手に場所を推理で特定させて人を集めるよりも、勘を頼りに分散した『探偵』が一番少ない
場所に出るつもりか? ま、その方が色々安全だもんな。 
 と、なると、人が一番行かなさそうな場所・・・ 

 「出たわ!キッドよーーー!!」 
 「えっ!?どこどこっ?」 
 「校庭!『祭典の大地』だったわ。もう移動してるけど!」 

 とたんに『探偵達』の大移動が始まった。 

 くそっ、逃がすか! 

 「蘭姉ちゃん、園子姉ちゃん!僕達も行こう!!」 

 急げ、急げ、急げ・・・・・っ! 

 「見えてきた、あそこよ!」 

 園子が指差したのは校庭の隅にある、体育用具室の屋根の上。 
 どうやって上ったんだよ!? やっぱりあいつ本物なんじゃねえか? 
 追ってた『探偵』のうちの何人かが、なんとか屋根の上まで行こうとしてる。 なのに、あいつは
それ以上逃げようともしないで、懐から懐中時計を取り出した。 

 「残念☆今回はこれまでです。次も頑張ってくださいね、探偵諸君?」 

 シニカルに笑いながら煙幕を出す。 
 くそっ、逃げられた!
 ・・・まぁ、落ち着け、俺。 何せまだ始まったばかりだ。 まだチャンスはある。 
 けどなぁ、やっぱり勘で場所に当たりをつけるのは、どうしても後手にまわっちまう。 ・・・『キッ
ド』より『黒羽』を探す方が確実だろうな。 

 「蘭姉ちゃん、僕ちょっとあちこち色々見てくる。何かあったら連絡入れるから。」 
 「え、ちょっとコナン君!?」 
 「一人じゃ危ないわよ?」 
 「大丈夫!じゃあまた後でね!」 

 悪い、蘭。 人の少なそうな場所で、あいつが隠れやすい場所・・・ 
 人にぶつからないように、気をつけながら走っていたら。 突然、浮遊感を感じた。 

 「危ないよ?コナン君。」 

 俺を抱き上げたのは、よくこれで抱き上げられたと意外に思うほど、白くて細い腕。 聞こえて
きたのは鈴を転がしたような、耳に心地よい可愛らしい声。 
 地面に下ろされて、振り返って見ると。 
 色素の薄い、背中までの長い髪に、大きな目。 薄紅色の瑞々しい唇が可愛らしく口角を上
げている。 江古田の制服のセーラー服を着た、美少女。 

 「え・・・と、お姉ちゃん、僕を知ってるの?」 

 自分らしくもなく、緊張してしまう。 熱い。 

 「知ってるよ。さっき会ったばかりでしょ・・・ボウズ?」 

 は・・・・? 
 いま、この少女の容姿からは信じられない単語が聞こえた気が・・・・・・・・・て、まさか、まさ
か、まさか・・・!! 

 「黒羽!?」 
 「ビンゴ♪」 

 にっこりと、可愛らしく笑って、言いやがった。