出会っちゃった人たち3




 (なにやってんだろ、俺・・・) 

 偶然にも、その日、江古田高校でため息二つ。
 




 「あー!快斗、見つけた!!」 

 屋上に来るなり、青子が快斗にビシっと人差し指を突きつけて叫んだ。 

 「げっ!青子!?しつけーぞ、おめー」 
 「当たり前でしょー?みんなが快斗を待ってるのよ。いいかげん逃げるの止めて、青子と来る
の!逃げたいならキッドの格好してから逃げて!」 

 腰に手を当てて、まったくもう!と可愛らしく怒る青子に、快斗は反論を試みる。 

 「なんで俺がそんな仮装して校内中逃げ回んなきゃなんないんだよ!?俺はこんな企画、さ
っきまで知らなかったぞ!?」 
 「ホームルームの時間全部寝てた快斗が悪いんじゃない!それに快斗には、今日まで言う
のやめようって、クラスのみんなで決めてたんだもん。」 
 「んでだよ。」 
 「知ったら逃げると思ったから。今日みたいに。面倒くさがって。」 

 言い切られてしまって、快斗は、うっ・・・と詰まる。 

 「それに、この企画のために、白馬君帰ってきてくれたんだよ?わざわざイギリスでの仕事の
スケジュールに空きをつくって。」 

 ちなみに、白馬の役割は企画参加者の「探偵」たちのアドバイザーだった。 

 「白馬の野郎の都合なんか知らねえ。」 

 べ、と舌を出して言う快斗に、こらっバ快斗!と青子が怒る。 

 「んーでもよ、やっぱり嫌だよ、俺。一日中、大勢から逃げてなきゃいけないんだぜ?他のと
ころの出し物全然見れねーじゃん。」 
「あ、それなら大丈夫♪ちゃーんとその辺は考慮してあるから。」 

 唯一の逃げ道と思われた、まっとうな理由は、青子にけろりと返されてしまった。 

 「だからほら、スタート地点に移動、移動♪」 

 背中を押されて、「もう知らねえ。仕方ねえから付き合ってやるよ・・・」と諦めて、屋内に続くド
アへと入る。 
 朝から感じた、嫌な予感は拭えないまま。 
 けれど同時に、やるからには、スキー教室でキッドになってみせた時のように、学園祭に来た
者全員を、大胆不敵に楽しませてやろうという気持ちも、快斗のなかにはあったのだった。 





  一方、こちらは江古田高校の校門前。 
 学園祭らしく、校内は模擬店やら呼び込みやら一般来訪者やらで賑やいでいた。 
 その中に、やる気まんまんの園子、園子の暴走を止める役を担った蘭、結局園子の迫力に
押されて断れなかったコナンが居た。 

 「キッドとの鬼ごっこは体育館スタートなのね。あ、もうすぐだね。」 

 パンフレットを見ながら蘭が言う。 

 「よし!行くわよ、欄、コナン君!!」 

 (はあ〜ぁ。)

 気持ちのなかだけでため息をついて、二人の後について行こうとした時、ふいに誰かに呼び
止められた。 

 「あの、失礼ですが・・・毛利探偵のお嬢さんの、蘭さんでは・・・?」 

 三人が足を止めて振り返れば、そこには黄昏の館で出会った、高校生探偵がいた。 





 「は、白馬君?」 
 「ああ、やっぱり。お久しぶりです。烏丸の邸以来ですね。それに、君は確か江戸川コナン君
でしたよね。まさかこの学校で会えるとは思いませんでした。」 

 白馬が、親しみやすい笑顔で話しかけてくる。 

 「ちょっと蘭、いい男じゃない。誰?」 

 と園子に小声で聞かれて、蘭が慌てる。 

 「ちょ、園子!もう。・・・えっと、お父さんに偽キッドから晩餐会への招待状が来た話はしたで
しょ?その時、お父さんと同じように呼ばれてた探偵の中に居たのが、彼。」 
 「白馬探です。あの時はコナン君も大活躍だったんですよ。」 

 気のせいだろうか、何か含みを持って言われたような気がして、コナンは曖昧に笑ってごま
かそうとした。 
 そこへ。 

 「ほら、快斗!体育館まで急いで・・・・あっ、白馬君だ♪おーい!」 

 と可愛らしい声がして、4人の視線がそちらに向く。 
 視線の先には、白馬を見つけて上機嫌な青子と、今日一番会いたくなかった人物たちをまと
めて見つけてしまった快斗が居た。