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白い息が呼んでる2
「出てこいよ、名探偵?」
もう一度。 物陰に向かって呼びかけると、ズボンのポケットに手を突っ込んだまま、名探偵が
ご登場だ。
鋭い視線でこちらを見て、それでいてどこか余裕のある顔で笑っていて。
でも残念。 鼻をすする音が聞こえちゃったよ。
「…気づいてたのか。」
あ、声も少し鼻声だ。
「まあねえ。あれだけ不穏な気配をさせてりゃ、嫌でも気づくよ。サッカーボールがすぐにでも
とんできそうで、怖い怖い♪」
しゃあねえな。 名探偵は格好つけさんだから、気づかない振りしてやるよ。
「やらねぇよ、今日は。」
「ほー…じゃあ、何の用事でこんなところに居たんだ?こんな時間に出歩いて、彼女が心配
するんじゃないか?」
それでも名探偵が本格的に風邪をひいて、俺が蘭ちゃんに怒られるのは嫌だから、用件は
手短に。
どうせ、あれだろう?
「…黒羽快斗に、会ったぞ。」
ほらね、やっぱり。
「お前のお気に入りだって?」
「ああ、まあね。」
名探偵の纏うピリピリした空気が、強まった気がする。
お前さんもよくよく俺を気に入ってくれたようで。
「快斗をお前の都合に巻き込むな。」
「へぇ?いつもは『快斗兄ちゃん♪』なんて呼んでるのに。本当はそう呼びたいんだ?」
コナン君の声で言うと、名探偵は顔を真っ赤にさせて焦ったようにペースを崩した。 まだまだ
だなあ。
「お、お前、どこまで知ってんだよ!?」
「たぶん、あいつのことなら何でも。名探偵、お前さん、俺を誰だと思ってる?」
なんか、いつの間にかそういう設定にしちゃったけど、これじゃ俺ってばストーカーみてえじゃ
ねえ? 自分で自分をストーキング、ねえ。
「…くそ!快斗を、お前の好きにはさせねえぞ。あいつは俺がもらう。」
へぇ、面白いな。
「探偵が、怪盗の俺に予告をよこすのか?」
「…ああ。必ず、お前のもとから快斗を解放してやる。」
名探偵の瞳が蒼く、暗く輝いた。
実は、この時俺は不覚にも、その蒼にゾクリ、としてしまった。
でもそんなことは、絶対見せない。 見せれば、俺も、名探偵も崩れてしまう。
「ははっ!ここは中森警部に倣って、盗れるもんなら盗ってみろとでも言ったほうがいいのか
な?」
あくまでも「追うものと追われるもの」の関係を崩さずに。
溶け込んではいけない。 怪盗キッドは常に、絶対的な存在でもって相手に向かわなけれ
ば。
・・・親父が、そうであったろうから。 中森警部が望んでいるのも、そんなキッドだろうから。
常に余裕に。 名探偵をも、あくまでも「気まぐれに相手をしてやる遊び相手」ぐらいに扱える
ようでなくては。
「楽しみにしてるよ、名探偵。この俺を相手に、お前がどれだけやれるのか。」
わるいな、名探偵。 そう簡単に、キッドの真実を掴ませてやる気はねえんだ♪


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